波多野善蔵造 指月窯 紅萩 井戸形茶碗(箱付)です。 たっぷりとした形状の良いお茶碗で、景色豊かな井戸形茶碗として仕上がっています。若干の使用感はありますが、状態は無傷完品です。 【波多野善蔵】 昭和17年（1942）〜 佐賀県に生まれ、陶芸家を志して有田、唐津で修行を積んだのち萩で吉賀大眉に師事。その後昭和43年（1968）萩の指月窯・波多野栄三の養嗣子となり作陶を学ぶ。平成14年（2002）、山口県指定無形文化財保持者に認定。 【 抹茶碗の「格」の高さ・格の順 】 「一楽・二萩・三唐津・つづいて井戸茶碗」（いちらく・にはぎ・さんからつ・続いて、いどちゃわん）となります。 「一楽・二萩・三唐津」という呼ばれ方が定着する以前には「一井戸・二楽・三唐津」と呼ばれたそうで、唐津焼は時代を跨いで茶の湯の中で不動の地位を築いていたことが伺えます。 また、1875年（明治8年）には、萩の豪商であった熊谷五一が3ヶ月以上にわたって表千家の十一代千宗左を山口に招待したため、多くの弟子が表千家に入門しました。九州大学の宮地英敏准教授によると、このお礼として「一楽二萩三唐津」というキャッチコピーが広められたとされています。 この決まりごとは、抹茶碗が「茶道にとって使いやすいものかどうか」が、基準のひとつとなっています。 そういった考え方から、茶碗の格の高さは、次の順番になります。 1.楽焼 2.萩焼 3.唐津焼 4.井戸茶碗 見た目が7回変わる「七化け」の萩焼の抹茶碗 萩焼（はぎやき）は、山口県の萩市（はぎし）で作られている茶碗です。萩では、約400年前から茶人（ちゃじん）の好む茶碗を多く作ってきました。そのため、茶道に適した茶碗が多くあるのです。 萩焼の特徴は、「七化け」（ななばけ）と呼ばれる色の変化です。長い間、抹茶碗を使い込むことにより、茶渋（ちゃしぶ）などが茶碗に染み込んでいきます。これが、使い込んだ味わいへと変化します。 井戸茶碗は朝鮮半島で作られた茶碗 井戸茶碗は、高台（こうだい・茶碗の足の部分）がガッシリと大きいカタチをした茶碗のことを言います。 もともと井戸茶碗は、朝鮮で作られていた食器でした。しかし、その形が茶道の茶碗として適していたのです。そのため、日本に持ち込まれることになりました。そんな理由から、抹茶碗として用いられるようになりました。